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運送業の長時間労働問題を保険でカバー?

こんにちは、いけしん保険エージェンシーです。
今回は使用者賠償責任保険(主に運送業)について、概要をまとめてみました。
運送業で避けて通れない長時間労働でのトラブルを中心に解説いたします。

運送業の長時間労働!!

人手不足による「過密スケジュール」や「荷待ち」「再配達問題」からくる拘束労働時間の長時間化。
さらには近年のコロナの影響により宅配業者への負担は益々増加傾向にきています。
そして、積み重なった過労を原因とした脳血管疾患、虚血性心疾患、精神障害またはうつ病からの自殺などの非外傷性の「新型労災」リスク。
これは全業種の中で最も高いのが物流業・運送業です。

運送業の保険が変わる!!

従来は「自賠責保険」「自動車任意保険」「貨物保険物保険」で運送業のリスクヘッジをしていたが、
人保険のほうも充実させる傾向が強く表れています。

その背景には、従業員の権利意識の向上による訴訟やトラブルの増加があります。
従来は、うやむやに処理されていた労働問題が、すぐに訴訟案件になる時代であり、労災やハラスメントなどの労働問題が起こると極めて多額の損害賠償を請求されるからです。
賠償額は1億円を超えることも珍しくなく、10年前の相場から倍増しています。
小さな会社は事業の継続が困難になります。

その中で運送業が絶対に加入しておくべき保険の第一は「使用者賠償責任保険」と「雇用慣行賠償保険」です。

使用者賠償責任補償とは

「うつ病自殺」 「過労死(脳・心疾患)」 「ケガによる労災事故」 等により、従業員及びご遺族から賠償金を求められ、企業または役員が負担する法律上の損害賠償金を補償。

雇用慣行賠償責任補償とは

「雇用上の差別」 「セクハラ・パワハラ」 「不当解雇」 等により、企業または役員、従業員が負担する損害賠償金を補償。

高額訴訟について

A超過勤務による会社・代表取締役・常務取締役に対する損害賠償訴訟(平成18年4月東京地裁)
賠償額:5,044万円
事案概要:トラック運転手であった故Aが高速道路を走行中、前方の大型貨物自動車に追突して死亡したのは、勤務会社、代表取締役および常務取締役が超過勤務をさせたためであるとして、連帯して損害賠償責任が認められた事案。

<結論>
勤務会社では、労使間の協議により時間外労働に関する協定が締結されておらず、就業規則も存在しなかったにもかかわらず時間外労働をさせており、故Aは事故前43日間で101時間25分の時間外労働をしていた。
勤務会社ならびに運行管理の責任者である常務取締役は労働時間を管理して遵守すべき義務に違反した過失があるとされ、代表取締役はトラック運転手が時間外労働を行っていることを熟知していたにもかかわらず、常務取締役を指揮監督して従業員であるトラック運転手の運行管理を適正化させ、その健康に配慮すべきであったのにこれを怠った過失があるとされた。
長時間労働に加え、不規則な勤務もあり、上記43日間で自宅で休養できない日は18回あり、トラック内で睡眠をとるなど、故Aが重度の疲労状態により、注意力散漫・緊張低下状態に至り、本件事故が発生したと認められ、相当因果関係があるとされた。

本件では、会社だけでなく代表取締役と常務取締役の個人の賠償責任も認められた。
勤務会社と常務取締役は労働基準法にもとづき罰金刑に処されている。

B長時間労働に対する安全配慮義務違反による損害賠償(平成13年2月大阪地裁)
賠償額:4,649万円
事案概要:配送トラック運転手であった故Bが、勤務中駐車場に停めていたトラックの運転席で意識不明の状態で倒れ、急性心不全により死亡したのは長時間労働を放置したとして、勤務会社の安全配慮義務違反による損害賠償責任が認められた事案。

<結論>
自動車運転は精神的緊張を伴う上、故Bが拘束時間外7年以上にわたり早朝から夕刻まで1日13時間を超え、かつ配送時間の厳守や積み降ろし作業、1か月に3日程度の休日などの慢性的な疲労状態であった。その後、故Aの要望により事故発生の4日前に新業務に変更となり、走行距離、拘束時間ともに短くなったが、新業務になった直後は運転車両や配送方法の変更等もあり、相当の精神的ストレスがあったものと認められる。そのような状況下で、故Aの有していた冠動脈硬化を自然的経過を超えて急激に著しく促進させたため、急性心筋梗塞により、本件発症に至り、その結果死亡したと認めるのが相当である。
勤務会社は、業務が過重であったことを容易に認識でき、過重な業務が原因となって、故Aが、心筋梗塞などの虚血性心疾患を発症し、ひいては故Aの生命・身体に危険が及ぶ可能性があることを予見し得たにもかかわらず、健康を損なうことが無いよう注意する義務に違反したとした。

本件では、故Bの希望により担当業務を変更したが、時期的に遅すぎ、安全配慮義務違反が問われた。
過重労働の蓄積による慢性的な疲労に精神的なストレスが加わったのが心疾患の原因とされた。

まとめ

本来、保険でリスクヘッジする前に長時間労働に対して向き合い、過度な労働を強いらないようにするのが一番ですが、
現実は難しいと感じている方が多くいらっしゃいます。
保険加入し自社のリスクヘッジをすることで、万一の際ご遺族へしっかりと賠償できることは決して悪いことではなく、
むしろ従来の保険同様、必要経費としてご用意いただく時代かと思います。


弊社では、ご加入を検討されている企業様へ団体制度の割引を活用した保険をおすすめしております。
スケールメリットを活用しておりますので、大きな負担もなくリスクヘッジが可能です。

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